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永遠の0(ゼロ)

何度も心の底からこみあげてくる感動の嵐に胸は溢れ、突如うるうると涙し、本を閉じたときには、なにやらハンマーで一撃を喰らったような衝撃とともに、人間として究極とも思える尊厳と愛を貫いた男の生きざまに深々と頭を垂れ、心の中を颯と吹き抜けた清々しい一陣の風とともに美わしい人間の存在に思いっきり心を洗われたのだ・・・あとがき 児玉清

そりゃ大げさだろ(笑

百田尚樹さんが書いた小説「永遠のゼロ」

上手い。

ものすごく上手い。

これがフィクションか・・・あんまりリアルなんでドキュメントかと思った。

タイトルのゼロは零戦のゼロなのかな?

一億総玉砕、総特攻と叫ばれた狂った時代に軍人でありながら最後まで生き延びようとした零戦乗りであるひとりの男の物語です。

これから読んでみようと思う人にはネタばらしになっちゃいけないけど、簡単に言うと戦争で亡くなった祖父の生きざまを孫の姉弟が調べる。

二人の祖母は戦後再婚しており、二人が祖父と信じて疑わなかった人の他に、母の本当の父である血の繋がった祖父がいると知る。

弟の方は今現在自分を可愛がってくれている祖父がいるのだから・・・と乗り気ではなかったが母親の実の父のことも知りたいと言う願いに特攻隊の生き残りの方たちは探し亡くなった祖父の実像に迫っていく。

だんだんと・・・だんだんと祖父の人柄を知るにつけ・・・いや、おいらがその主人公となる宮部さんの話を聞くにつけ、この愛すべき男に心を奪われていく。

のめりこむ。

そしてドラマチックなラスト。

以前、映画「男たちの大和」で「戦争によって守れるものなど何もないのだ」と言っていたけれど、この宮部さんは戦争そのものではなく生きざまで家族を守った。

最後にこの宮部さんは特攻で亡くなるわけだけど、彼の生きた時代に赴き彼を抱きしめ「あなたが奥さんも娘さんも守りきったんですよ」と教えてあげたくなった。

知覧の平和会館や九段の遊就館などに行くと特攻で亡くなった方の遺書が残りそれを読むこともできるけど・・・あれはある意味ニセモノね。

当時は検閲が厳しくて本音は書けなかったし、「祖国のために」だの「天皇陛下の御為」だの書かなきゃいけないし「喜んで死にます」なんて大ウソをつかなければいけなかった。

この小説に出てくる特攻隊の生き残りのみなさんの言葉は真実。

戦争はいけない・・・なんて言葉じゃなく、戦争はバカバカしいと思える。

自分の保身ばかりを考える大本営の上官、部下が死んだことよりも零戦が一機ダメになったことを嘆く上官・・・そんな奴らのために命を懸けなきゃいけなかったなんて・・・なんのために生まれてきたのか・・・と。

そんなことを本気で考えさせられる見事な作品。

この本はもう一度読まなければいけない・・・初めてそう思った秀逸なできばえ。

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コメント

 こんばんは。永遠の0ということで検索をしたらここにたどりつきました。
 私も最近読みまして、偏っていない視点や構成の上手さに驚いた者です。
もしよろしければ、なぜ最後「生」にこだわった宮部が死を選んだのかの所感をお聞かせ願えないかと思ってメールをしました。

 すみません。

投稿: うみ | 2011年1月15日 (土) 21:11

うみさん

こんばんは。
この本からの検索でこのブログに来てくれる方がけっこう多いんですよねぇ。
みな衝撃を受けられてるんでしょうか・・・そうゆう意味でも傑作ですね・・・この小説は。

さて、ご質問ですが・・・おいらのような凡人には宮部さんの心はわかりかねます。

ただ・・・自分の命を犠牲にして狂った上層部と後世の人たちに戦争の無意味さを伝え残したかったのかなぁと考えたりします。
生きることに最後までこだわった自分ですら死を選ばなければならなかった戦争という狂気。
それを命に代えて教えていったのかな・・と。
そしてその後に残る我が子や我が孫にはその恐ろしさを体験させることなく平和な時代を過ごして欲しい・・そんな願いをこめて。

かっこよすぎますか(笑

投稿: ホッシー | 2011年1月19日 (水) 07:51

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