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鬼の涙

おいらは奥を鬼嫁と思う

もちろん、鬼のように怖いって意味じゃない

出会って30年、おいらはこの人の涙を見たことがない

体内に涙というものがないらしい

だから、鬼

いや…鬼も涙を流すか…鬼の目にも涙って言うしな

今回の娘たちの結婚式では驚かされることが多かった

趣向を凝らしてゲストを楽しませようとした二人の工夫も想像以上だったし、正直すぎる娘の手紙にも度肝を抜かれた

しかし、なんといっても驚かされたのは鬼の涙

奥もとうぜん自分の結婚式では父親にあてた手紙を読んだ

多くの友人知人たちにあたたかい言葉をいただいたし、胸に刺さるものだってあっただろう

早くに母親を亡くし、弟妹の面倒を見ながら家をささえた独身時代…泣きたいこともあったと思う。

が、頭の中をぐるぐると巡る過去のどれも奥から涙をこぼさせることはなかった。

よって、我々の結婚式は世にも不思議な新郎がぼろ泣き新婦がけらっけら笑うという奇妙な状況の中幕を閉じた。

その奥が…娘の手紙の最中涙をこぼしてる。

これ以上の驚きはなかった

一夜明けて奥に訊いた「なんで泣いたの?」

初めて見た奥の涙だったから訊かずにはいられない

「いろんなことが頭を巡ったから」

って…自分の結婚式はそれでも泣かなかったのに。

ってことは、そうか…おいらと過ごしてきた後半の人生は鬼の目に涙を浮かべさせるほど壮絶なものだったのか

「知らなかっただろうけど、毎晩お風呂のなかで泣いてたよ」

「死んだらどれだけ楽になれるかなって考えたりもした」

次々に突き刺さってくる奥の言葉

訊かなきゃよかった

「そんなことを今さら言わなくったって…」言葉の出ないおいらに「いいじゃん、今は笑って言えるんだから」って。

笑い話?

笑えねえよ

そりゃ生まれ変わってもおいらと一緒になる?の質問に「うん」と言わないわけだ。

どうする?

まだまだこれから…残された時間で同じ質問に「うん」と言ってもらえるように…そう生きていくしかないだろ。

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